創成館―神村学園 九回裏神村学園無死、今岡は左へ大きな打球を飛ばすが、左飛に終わる=角野貴之撮影

(13日、第107回全国高校野球選手権大会2回戦 創成館1―0神村学園)

 0―1で迎えた九回裏。神村学園の先頭打者は今岡拓夢主将(3年)。「とにかく塁に出る」。2球目。144キロの内角高めの直球を振り抜いた。

 大飛球は左翼へ。「入ってくれ」。祈るような気持ちでベースを走った。だが、フェンスとぶつかりながら左翼手が伸ばしたグラブにボールは収まった。

 後続が打ち取られると、初戦敗退が決まった。

 1年夏からベンチ入りし、2年の昨夏は連続夏4強にも貢献した。「来年こそは全国制覇」。新チーム発足と同時に強い思いで主将に手を挙げた。

 だが、新チームに入ってからは苦労の連続。昨秋の九州大会は初戦敗退。4季連続の甲子園出場を逃した。「自分の代で連続出場が途切れた」

 主将として実績が出せないことに悩んだ。自分が背中でプレーを見せれば、みんなついてきてくれると思っていた。だが、言葉でしっかり伝えないとチームはまとまらないと気付いた。

 思ったことはどんどん発言するようにした。周りに声を掛けることで、小山琳太(りんた)選手(3年)ら同級生たちも支えてくれるようになっていた。

 甲子園では出場校最後となる49番目の登場。「実戦を離れて試合感覚が鈍っていた」。相手投手の緩急を使った投球を打ち崩せない。「受け身になったら負ける。攻めていこう」。チームを必死に鼓舞したが、鹿児島大会54安打(打率3割3分1厘)のチームは2安打無得点に終わった。

 試合後は涙が止まらなかった。「苦しいことも多かったが、仲間のおかげでやってこられた」。今後の進路を聞かれると「プロ一本です」と即答した。「目標を達成するには、打撃の対応力や守備力もまだまだ。一から自分を見つめ直したい」。悔しさをバネにして、次の目標を見据えた。

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