自身の作品「草曼陀羅」にサインを書こうとする渡邊照子さん=2025年5月20日午後1時50分、滋賀県湖南市の自宅、辻岡大助撮影

 滋賀県湖南市の画家、渡邊照子さんの作品展が23~25日、甲賀市水口町水口の「あいこうか市民ホール」で開かれる。渡邊さんは今年、96歳になった。静物画を中心とした個展になる。

 アンティークのイスの座面にワインのボトルを配した絵など57点の油彩画を出展する。

 岡山県出身。油彩画は独学だ。「物をしっかり観察して忠実に描くこと」を信条に、モチーフの静物と語り合う心境でカンバスに向かってきたという。

 細密に描き込む画風で、作品はいずれもリアルな印象を与える。1980年に新世紀美術協会の会員に推挙され、2002年には新世紀展会員特賞を受賞した。

 絵を描き続けて75年になる。自宅の一室をアトリエにし、イーゼルに載せたカンバスに筆を入れては後ろに下がって全体のバランスを確認する。「アトリエの中のごく短い距離ですが、そうやって頻繁に運動しながら描くのが健康にいいんだと聞きました」と渡邊さん。

 外出の際、周囲の細かい部分まで観察しながら絵のモチーフを探して歩くのも「長寿の秘訣(ひけつ)かも」と話す。「草曼陀羅(まんだら)」と題した作品は自宅近くの土手で観察した雑草や春がすみの青空をモチーフにしており、奥行きを持たせた表現になっている。

 作品展は午前11時~午後4時半(最終日は午後3時まで)。小品の販売で得た収益をチャリティーとして恵まれない子どもや若者に寄付したいという。

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