2016年4月16日未明に起きた熊本地震の本震で、熊本県益城(ましき)町は最大震度7を観測した。
同町の農業、西村幸人(56)ら一家5人は木造2階建て自宅の1階で寝ていた。揺れに驚いて目をあけると、すぐ目前に天井が落下していた。家はつぶれ、すぐに身動きが取れない。どちらに進めば外に出られるのかも分からなかった。
「家の下敷きになった」 送信後、20分後に
長男(28)が枕元に置いていたスマホを手に、メッセージアプリ「LINE」で友だちに「家の下敷きになった」とメッセージを送った。
この情報が広がった。20分後、消防団や近所の人が助けに来た。「こっちだ」。声で外に通じる方向がようやく分かり、50センチの隙間から出た。
西村は携帯電話を台所で充電中で、手元になかった。「息子のスマホが枕元になければどうなっていたか」。脱出できないまま築60年の家が余震でつぶれ、圧死してもおかしくなかった。
LINE誕生の背景に東日本大震災
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