Smiley face
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病院で一人亡くなった三崎路子さんの父=三崎さん提供
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 約4カ月前、福島県内に住む女性(89)の夫(86)は、脳梗塞(こうそく)を起こした。救急車で運ばれて2カ月間入院したのは、400床以上の大規模病院だった。面会は予約制で1回15分、週2回のみ認められていた。

 女性は毎回、バスとタクシーを乗り継ぎ、1時間かけて病院に通った。交通費は往復で3千円超。まひしている夫の手を握り、話しかけて反応を待っていると、すぐに10分が過ぎた。

 面会で胸がいっぱいになるのか、「何か言いたいことがある?」と夫に聞いても、「いっぱいある」と言うだけ。残り5分では、うまく言葉を出せない。「時間です」という看護師の言葉に促され、なすすべもなく病室を出ることが繰り返された。

 病院の対応を疑問に思った女性は、近隣の大規模病院の面会規則について調べた。基本的に自由なところから、1回30分までなど、さまざまだった。

 「一律15分、週2回という面会制限の根拠はなんなのでしょうか。病む家族のそばで、家族の誰かが寄り添い、慰め合うのは自然なことです。病院にとっては都合のいい事務的な決め事でしょうが、患者と家族への配慮や思いやりが感じられません」

「最期を看取れない」病院に入院させてしまった

 病院の面会制限について、公…

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