怖いコマ撮りアニメは最近トレンドでして、堀貴秀監督の「JUNK HEAD」(2021年3月29日の本欄「知識経験ゼロで長編人形アニメできちゃった」参照)は地下迷宮ダークファンタジー、実写やミニチュア特撮を交えたフィル・ティペット監督「マッドゴッド」はグロテスクな暗黒神話、多彩で大胆な技巧を駆使したレオン&コシーニャ監督の「オオカミの家」は政治的宗教的寓話(ぐうわ)、そして1月17日公開のロバート・モーガン監督「ストップモーション」は日常を不気味な人形たちが侵食してくるガチなホラーです。
- 知識経験ゼロで長編人形アニメできちゃった
人を襲う人形はホラーの定番で(チャッキー怖い!)、それを特撮やCGでなくコマ撮りで表現した、というだけではありません。主人公を人形アニメの作り手にするメタな仕掛けを利用し、自分自身が人形と化すのではという恐怖で存在の不安をえぐります。肌に違和感を覚えて指でまさぐったら粘土のようにえぐれた! キャー!
主人公エラは、人形アニメ界のレジェンドである高齢の母の助手を務めサイクロプス(隻眼の怪物)の人形アニメを作っていますが、関節炎で手が動かなくなった母は指示通り出来ない下手くそな娘をなじり、「操り人形さん」と皮肉を込めて呼びます。母が脳卒中で倒れると入れ替わるように謎の少女が住居兼スタジオに現れ、「こんなのつまんない。私がお話を考えてあげる。森の中で女の子が灰男(アッシュマン)に追われるの」。自分では何一つアイデアを出せないエラは押し切られて従いますが、少女は人形の材料に生肉や動物の死体を使えと言い出して……。
血の滴るステーキをエラが細…