近年の物価高の影響で、行政のセーフティーネットからこぼれ落ち、貧困に苦しむ子育て世代が増えている。「最低限度の生活」を保障する責務を負った地方自治体の役割とは。
昨年末のクリスマス。岐阜県大垣市のNPO法人「フードバンクぎふ」には、サンタクロースからプレゼントをもらおうと、子ども連れの保護者らが次々訪れた。
子どもにはサンタクロースから絵本が、保護者には段ボールが渡された。中には食料や日用品などが入っている。
フードバンクぎふは企業や個人から食料や日用品を募り、生活困窮世帯に配布している。2012年の活動開始以来、生活困窮者が糊口(ここう)をしのぐ「命綱」となっている。
支援先は約600世帯。コロナ禍の3年前からほぼ倍増した。理事の船田伸子さんは「近年の物価高が生活困窮世帯を直撃している」という。
気がかりなのは子育て世帯の増加だ。従来の支援先は単身高齢者が大半だったが、コロナ禍を経て食べ盛りを抱える世帯が支援先の3割以上を占めるようになった。
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