木造住宅が倒壊し、多くの犠牲者が出た1995年1月の阪神・淡路大震災。その翌年に始まったのが、「新築そっくりさん」の名前で知られる住友不動産のリフォーム事業だ。新築のほぼ半額で一棟丸ごとを全面改装するのが売りで、これまでに約17万棟を手がけた。震災を機に「古い家を地震に強くしたい」という元社長の思いが事業誕生のきっかけだった。
東京都江戸川区の住宅街。築40年の木造2階建て住宅で、新築そっくりさんのリフォーム工事が行われていた。2世帯5人家族が暮らす住宅に、対面式のキッチンやウォークインクローゼットなどを新設。柱と柱の間に壁を補強する「筋交(すじか)い」を入れ、地震に備え改修した。担当者は「都内でもまだまだ古い住宅は多く、耐震補強の要望も多い」と話す。戸建ての場合にかかる費用は、平均1700万円という。
新築そっくりさんは、30年前の阪神・淡路大震災を機に生まれた。多くの家屋が倒壊した被災地を見た当時の社長が「住宅を耐震補強した上で、新築のように再生できる商品の提案を」と指示。その年の10月、社員4人によるプロジェクトチームが発足した。
チームの一員だった吉田直樹…