国内有数のホップ産地として知られる秋田県横手市で昨夏収穫されたホップを使い、県内で醸造されたクラフトビールやハードサイダー(リンゴを発酵させる醸造酒)が販売されている。限定醸造で、早くも売り切れ商品が相次ぐ人気ぶりだ。
一連の商品は「横手産ホップシリーズ2024」として企画され、県内のクラフトビール醸造所6社が1種類ずつ醸造。企画した地元の民間組織「YOKOTE(ヨコテ) HOPPERS(ホッパーズ)」(首藤郷代表)によると、収穫直後に畑から醸造所へ直送する生ホップ、または一晩乾燥させただけの乾燥リーフホップを使うため、新鮮なホップの香りや爽やかな苦みを感じられるという。
首藤代表は「地元栽培のホップを地元で加工醸造するからこそ出せる香りと味わい」とPR。今季は大雨や猛暑など異常気象で花芽の数が少なかった分、一つ一つの毬花(まりはな)が充実。香りや苦みの成分が利いているという。
ただ、新鮮なままのホップは保存性や流通性が悪く、醸造・販売期間も量も限られるため「無くなり次第終了」となる。
昨年7~9月に収穫された横手産ホップを使用して醸造。同10~11月に6種類を発売し、既に複数が売り切れたという。
横手市によると、市内のホップ生産量(市町村別)は昨年度まで3年連続日本一。ただ、担い手不足で生産者の高齢化が進み、生産者も生産量も年々減少している。
栽培戸数は1987年度の133戸を、生産量は89年度の約14万2300キロをピークに減少。昨年度は23戸で約2万8500キロだった。
栽培技術の継承や設備更新などの課題が山積する中、持続可能な生産地「ホップの郷(さと)」を目指す「よこてホッププロジェクト」が19年に発足。地元の民間有志に端を発し、大雄ホップ農協とキリングループ、横手市を加えた官民連携組織だ。
その中で産業振興事業を担うホッパーズが20年から横手産ホップシリーズに取り組んできた。首藤代表は「まずは、このビールを通じて、横手市がホップの生産地であることを広く知ってもらい、応援の輪を広げていきたい」と話している。
同シリーズは県内のスーパーやクラフトビール専門店、各社オンラインショップで販売中。330~350ミリリットル入りで希望小売価格(税別)は540~800円。1本につき30円が同プロジェクトに還元され、若手や新規のホップ農家育成などに使われる。問い合わせは同プロジェクトのホームページ(https://yokote-hop.com)から。