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白鶴酒造が2024年9月にオープンさせた小規模醸造施設「HAKUTSURU␣SAKE␣CRAFT」=2024年12月24日午前10時52分、神戸市東灘区住吉南町4丁目、西村宏治撮影

 1995年1月17日の阪神・淡路大震災から30年。巨大地震は、日本酒の生産日本一を誇る兵庫・灘五郷(兵庫県神戸市、西宮市)にも大きな傷痕を残した。

 木造の蔵が、軒並み全壊。さらに震災に、市場の縮小が追い打ちをかけた。国税庁によると、95年度に126万キロリットルあった清酒の販売数量は2022年度に40万キロリットルになった。

 震災前に50を超えた灘五郷酒造組合の加盟企業数は、発災から10年が過ぎるころには40を割り、20年が過ぎるころには30を割った。

 生き残ってきた蔵は、どう震災に立ち向かったのか。そこから、産業復興の教訓を考えたい。

灘五郷

 神戸市から兵庫県西宮市に広がる酒どころ。西から西、御影、魚崎、西宮、今津の五つの郷からなる。2022年7月~23年6月の清酒製成数量(アルコール20度換算)は約6万5千キロリットルと、全国トップの約2割のシェアを持つ。1995年の阪神大震災では大きな被害を受けた。震災前に50ほどあった灘五郷酒造組合の酒蔵は、24年末までに25社に減っている。

素早い立ち上がりと「被災地外の視点」

 震災は大きな被害を残した一…

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