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 企業の新卒採用競争が、厳しさを増しています。学生優位の売り手市場となる中、いまや企業は「選ばれる側」。学生にきめ細かく向き合おうとするほど、採用担当の業務は膨らみます。それでも、学生の心をつかもうと試行錯誤を続けています。

説明会の参加減 会社の魅力どう伝える?

 建材メーカーの田島ルーフィングが昨夏開いた企業説明会。社員と学生が車座になり、和やかな雰囲気で質疑を進めた。

 その様子を少し離れたところから、スマートフォンで撮影する姿があった。就活サイト「JOBTV(ジョブティービー)」のスタッフだ。撮影した動画はスタッフでテロップなどの編集を加え、田島のインスタグラムに投稿する。

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田島ルーフィングの会社説明会の様子をスマホで撮影する、JOBTVの撮影スタッフ(右)=2024年8月、東京都千代田区

 田島はこれまで、大学内で開かれる企業説明会を中心に学生との接点をもってきた。だが近年は「SNSやスカウト型就活サービスなど学生自身で情報がとれるようになり、説明会の参加が減ってきた」(人事担当の岡本一直さん)。結果として、選考の応募数も減りつつあった。

 採用担当にとって、応募学生を集める「母集団形成」は最大の悩みだ。就職情報会社キャリタスが昨年、企業に2025年卒の学生の採用における「テーマ」を尋ねたところ、最多は「母集団の拡大」(34.7%)。「(選考時期前の)プレ期のアプローチ・つなぎとめ」(16.6%)、「辞退防止」(14.0%)も大きく上回る。

 学生に会社の魅力を知ってもらう機会をいかにつくるか。田島は昨年6月から、JOBTVの協力で動画投稿を始めた。週4回ほどのペースで投稿しているという。

 昨夏の説明会の終了後には、社員が「好きな福利厚生は?」などの質問にテンポよく答える動画も撮影。岡本さんは「会社の魅力は『人』。雰囲気が伝わる方法を撮影スタッフから提案してもらっている」と話す。

 投稿を始めて半年ほどだが、動画をみて会社に興味をもってくれた学生もおり、少しずつ手応えを感じているという。

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