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子どもの成長と健康 どう守る?

様々なジャンルの「プロ書き手」によるニュースレターが配信される外部媒体「theLetter」で2023年9月23日に配信された記事です。

 このニュースレターでは3カ月に1回のペースで、取り上げてほしいテーマを募集しています。その中で、1番多いのが「子どもの入眠時間」に関することでした。

 その前に子どもの睡眠に関する評価項目をご紹介します。子どもの睡眠は六つの評価項目で見るという考え方があります(#1)。これは何も子どもだけの考え方ではなく、成人の評価項目を子どもに拡大適用したものです。

子どもの睡眠の評価項目

1)睡眠時間:24時間あたりに得られる睡眠時間の合計

2)睡眠効率:睡眠時間と入眠しようとしてからベッドにいる時間の比。どれだけ入眠しやすいか

3)ベッドタイム(睡眠時間の位置):24時間の中で睡眠時間が何時から何時に来るか

4)注意力/眠気:覚醒状態を維持する能力

5)睡眠の満足度:1日1日の睡眠が良いか悪いかという主観的な評価

6)睡眠関連行動:睡眠を促進するまたは阻害する可能性のある行動(寝る前のテレビ視聴、帰りが多くなる塾など)

 この6つが子どもの睡眠を評価する上で重要とされる項目です。どの項目も大切ですが、今回はリクエストの多かった③ベッドタイムに焦点を当てたいと思います。

ベッドタイムの重要性

 子どもが睡眠に入るタイミング、つまりベッドタイムが子どもの成長や発達に関係していることはいくつかの研究で示されています(#2、3、4)

 子どもの睡眠は、二つの要素によって成り立っています。

 それは内的な要因と外的な要因です。

「theLetter」とのタイアップ企画

様々なジャンルの「プロ書き手」によるニュースレターが配信される「theLetter」と朝日新聞がタイアップして、一部コンテンツを配信します。この連載では小児科医「ふらいと先生」が執筆するニュースレターから、子どもの健康や医療に関連する記事を配信します。
ふらいと先生による子どもの睡眠に関する他の記事は上記リンクから読むことができます。

 外的な要因とは、子どもを取り巻く環境のことで、家族や学校、習い事のことを指します。

 そもそも昔から両親が夜更かしをして家族全体が寝るのが遅かったり、通っている塾の終わる時間が22時や23時だと寝るのが遅くなってしまいます。これが外的な要因です。

 そして内的な要因で重要事項は、体内時計です。

 「人間には体内時計がある」という話を聞いたことがありませんか?

  • 「発達障害は親の育児のせい」説 現役の小児科医が徹底検証

 人間には各自自分の体の中にオリジナルの時計を持っており、人間は規則正しい生活をするように設計されています。この体内時計は専門用語で「サーカディアン・リズム」と呼ばれます。

 この体内時計は生後2~3カ月まではできていません(#6)。これがこの時期に赤ちゃんの夜泣きが多い理由でもあります。

 その頃からコルチゾールという体を元気にするホルモンが昼に多く夜に少ないといったリズムで分泌されるようになります。その分泌によって子どもは自分の体の中に体内時計を作っていきます。

 そして、子どもの体内リズムに最も影響を与えるのは「太陽の日光」です。

 100ルクスを超える照度へ暴露する時間が毎日増加することで、子どもの体内時計が正確になることが研究でわかっています(#7)

 元々人間の体内時計は24時間より長いことが知られていますから、毎日一定の時刻に太陽の光を浴びるのはとても大切なことなのです。

具体的なベッドタイムは?

 ベッドタイムの重要性は前の章でわかっていただけたかと思います。

 では子どものベッドタイムは何時にしたほうがいいのでしょうか?

 米国のNational S…

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