内乱などの容疑で逮捕された韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が21日、憲法裁判所で開かれた弾劾(だんがい)審判に出廷した。過去に大統領として弾劾訴追された盧武鉉(ノムヒョン)氏、朴槿恵(パククネ)氏は出廷しておらず、弾劾された大統領が自ら出廷したのは初めて。尹氏側は昨年12月に出した「非常戒厳」を改めて正当化し、尹氏は「詳しく調べてほしい」と述べた。
尹氏は非常戒厳を出した後に国会に弾劾訴追され、罷免(ひめん)の可否を判断する弾劾審判はこの日が3回目の弁論だった。弁護団は非常戒厳について、野党が国政をまひさせていることなどへの警告に過ぎなかったとの主張を繰り返し、軍などを動員して国会を封鎖しようとしたとの訴追団側の主張に改めて反論した。
尹氏自身も、国会から議員を引きずり出すよう軍幹部らに指示したかとの裁判所の質問に、「ない」と否定。「自由民主主義という信念一つを確実に持って生きてきた」とも述べた。
尹氏が非常戒厳を出した後、映像での談話の発表以外で公の場に姿を見せたのは初めて。尹氏の弁護団は今後も原則として、尹氏がすべての弁論に参加する意向だとしている。
一方で、19日に逮捕された尹氏は捜査機関の取り調べには応じない姿勢を貫いている。密室で取り調べを受けるより、公開の法廷で自らの主張を世論に訴える方が得策との判断からとみられる。
また、自ら出廷することで、証人らに圧力をかける狙いもあるのではないか、との指摘も出ている。