音楽系大学を卒業しても、プロの演奏家としての活動だけで食べていくことは難しい。そんな音楽家を応援する取り組みを、山陰の地方都市が始めている。音楽家と地方自治体の「ウィンウィン」を狙った挑戦とは。
3月初め、島根県西部の浜田市にある文化ホールのロビーに、ユーフォニアム奏者の川北朋(とも)さん(42)が楽器を背負ってやってきた。
川北さんは滋賀県栗東市出身。英国の音楽大で学び、帰国後は演奏活動や吹奏楽の指導などをしてきたが、コロナ禍もあって生計を立てるのに不安を感じていたという。
島根県西部の地方都市に、若手音楽家が移住してきています。その数、これまでに約20人。「働きながら演奏活動も続けられる」という仕組みは、町にとってもメリットがあるようです。
昨年、浜田市の取り組みをインターネットで知り、大阪府から移り住んだ。昼間は隣接する江津市内で働き、夕方以降は自分のリサイタルに向け、無料で提供された文化ホールのロビーで練習している。
人口減に悩む市とタッグ
浜田市もほかの地方都市と同…