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京都精華大学の鹿野利春教授=本人提供

 大学入学共通テストで今回から導入された、新科目「情報Ⅰ」の入試が終わった。高校情報科の現行の学習指導要領をとりまとめた元文部科学省教科調査官、鹿野利春・京都精華大教授は、どうみたのか。「情報入試」のこれからは――。

 ――「情報Ⅰ」の出題をみて、どんな感想を。

 現行の学習指導要領で我々がめざしたものは、デジタル化が急速に進む社会の中で、社会課題の発見・解決につながる情報教育を充実させることでした。だから入試に入れたのであって、技術や知識を問うだけなら入試に入れる必要はなかった。

 そうした狙いからみれば、今回の出題は、身近な課題を題材に、知識だけでなく思考力も問うバランスのとれたものだったと思います。

 問題の読解力はどの科目でも求められる力ですが、提示された条件やデータなどの情報を整理し、導き出す力は、情報活用能力そのものです。

 欲を言えば、情報に関連する法規の出題がもう少し欲しかった。最新の技術を扱うには、法規の知識は押さえておかなければなりませんから。

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 ――受験生からは「簡単」という声もあったようですが。

 初回なのでオーソドックスな出題でしたが、来年以降は、情報が得意な受験生に応えるような出題が出てくる可能性はあるかもしれません。サンプル問題や試作問題には、そうした出題もありましたから。

 あと数年で、受験生も小学校…

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