野ネズミの大家族の暮らしを描いた「14ひきのひっこし」などで知られる、絵本作家のいわむらかずお(本名岩村和朗)さんが、昨年12月19日、老衰のため死去した。85歳だった。葬儀は家族で営んだ。喪主は長男康一朗さん。
東京都出身。東京芸術大学を卒業後、化粧品メーカーのデザイナーや幼児番組の絵を描く仕事を経て、1970年に「ぷくぷくのえほん」で絵本作家としてデビューした。
豊かな自然の中で暮らす野ネズミの大家族を描いた「14ひきのひっこし」(83年、童心社)など「14ひきのシリーズ」は全12作。累計802万9千部が発行され、18カ国で翻訳されている。
「タンタンのずぼん」(76年、偕成社)など子ザルのタンタンが登場するシリーズは英語やフランス語などにも翻訳された。ほかに「ひとりぼっちのさいしゅうれっしゃ」(偕成社)や「かんがえるカエルくん」(福音館書店)、米国の絵本作家エリック・カールとの合作絵本「どこへいくの? To See My Friend!」(童心社)などがある。
75年、都内から栃木県益子町に移住。98年に、同県馬頭町(現・那珂川町)に自身が館長を務める「いわむらかずお絵本の丘美術館」を開館した。2014年にはフランス芸術文化勲章シュバリエを受章した。