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妻の自宅には亡くなった夫との思い出の写真や品々が飾られている=2024年12月23日、愛知県内、嶋田圭一郎撮影

 JA愛知厚生連・豊田厚生病院(愛知県豊田市)で不整脈の心臓カテーテル治療を受けた40代男性が2021年1月、心臓と食道に穴があく極めてまれな重症の合併症に陥り、23年10月に死亡していたことがわかった。遺族側は、病院が速やかに合併症と診断できず対応が遅れたとし、訴訟の準備を進めている。発生原因と再発防止策についてJA愛知厚生連は、朝日新聞の取材に「応じられない」とした。

 合併症は、発生率が0.02%程度とされる「左房食道瘻(ろう)」。不整脈治療の際、高周波で心臓内を焼く熱の影響で、心臓に接する食道に穴があき、逆流した胃酸の影響で心臓にも穴があく合併症とされ、致死率は極めて高い。

 遺族や病院の診療記録によると、男性は20年11月、クリニックで不整脈の一種である発作性心房細動と診断され、その後、豊田厚生病院で高周波を用いた「カテーテルアブレーション」と呼ばれる治療を受けた。治療後、背中に痛みがあると伝えたが、消炎鎮痛テープを処方され、退院した。

 左房食道瘻について、治療時の同意書には「きわめてきわめてまれ」と書かれていたが、遺族側によると、事前に口頭での説明はなく、退院時にも注意はなかったという。

 このため、男性は退院から1…

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