【動画】愛知県東浦町で約5年倉庫で眠っていた巨大な岩塩がメルカリを通じて福岡県の業者に購入された=臼井昭仁撮影
5年間、その大きさによって倉庫で「塩漬け」にされていた岩塩が再び日の目をみる――。愛知県東浦町が不用品としてフリーマーケットアプリ「メルカリ」に出品した2個あわせて約6トンの巨大岩塩を、福岡県の業者が購入し、28日に引き渡された。今後、同県行橋市で展示されるという。
岩塩は、ドイツ産(2.5トン、高さ85×120×100センチ)と、米国産(3トン、高さ140×95×85センチ)のもの。1999年開館の東浦町郷土資料館の常設展示品として町が購入した。かつて町に塩田があり塩が作られていた歴史にちなんだ展示だった。だが、その大きさを持て余したこともあり、2019年のリニューアルで撤去。以来、倉庫で眠る日々だった。この間、インターネットのオークションに2回、予定価格2円から出品されたが買い手はつかなかった。
町は、昨春からメルカリを使って公共施設から出た不用品の処分を始め、岩塩を1個30万円で出品した。ネットで大きな話題になり、見学希望者も絶えなかったが、運び出す手間暇や費用がネックになったとみられ、売れずじまい。1個21万円にまで値下げした。
その直後に購入を決めたのが福岡県行橋市で「自然薯(じねんじょ) 御薯(おいも)の里」を経営する板金加工業大嶋隆美さん(77)。ネットのニュースで知ったといい、「こんな物があるのかとびっくりした。木と石が好きで興味がわいた」。購入金額は岩塩2個に展示台を加えて計42万4410円。自然薯の直売所で岩塩を巨木と一緒に展示するという。
28日に友人とトラックに乗って12時間かけて駆けつけ、保管されていた町文化センターから福岡へと搬送した大嶋さんは「とても大きいが岩塩は縁起物。一人でも多くの人に見てもらえるようにしたい」と話した。岩塩を送り出した日高輝夫町長は「このまま塩漬けかと思っていたが、こういう形で活用されることになり、うれしい」と話した。