Smiley face
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ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗さん

 取り調べで被疑者が黙秘権を主張すると、検察官が人格攻撃のような言葉をぶつける――。取り調べをめぐる問題が人権侵害だとして、国家賠償訴訟などで相次いで争われている。検察組織の何が問題なのか。改善策をどう考えるべきか。「人質司法」の問題にも取り組む、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」日本代表を務める土井香苗さんに話を聞いた。

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 もともと検察官志望でした。学生時代、司法試験に合格した後、1997年にボランティアとしてアフリカ・エリトリアの法務省で法律作りに携わり、その後、司法修習を受けました。当時、刑事司法に関する意識は特別高くなく、白紙状態で法曹の世界へ入っていきました。

 司法修習時代の実務研修で出会った検察官は、ふだんは素敵な方でした。修習生は取り調べに立ち会うことができるのですが、ある日、無実を主張する被疑者の取り調べがありました。すると、検察官はものすごい剣幕で被疑者を怒鳴りつけたのです。言い逃れは絶対許さない、必ず自白させる、という強烈な気迫を感じました。怒鳴りつけてでも自白を取るのが検察官なのだと感じ、私にはとても無理だと、弁護士の道に進みました。

録音・録画を刑事事件の全案件・全過程に拡大を

 いま、被疑者が無実を主張し…

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