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「三島由紀夫生誕100年祭」の会場。貴重な品が並ぶ

 三島由紀夫(1925~70)が今年1月、生誕100年を迎えた。東京・駒場の日本近代文学館では、戦後を代表する作家の多面性を伝える貴重な品々を陳列した「三島由紀夫生誕100年祭」展が開かれている。

 会場はミシマニア(三島愛)、ビブリオマニア(書物愛)、ヤポノマニア(日本愛)の三つのゾーンに分かれている。

 「三島愛」からは三島の幅広い人脈がうかがえる。目をひくのは69年初演の新作歌舞伎「椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)」関連の展示。画家の横尾忠則さんによる公演ポスターの近くには、三島が歌舞伎役者の坂東玉三郎さんに送った限定版の「サド侯爵夫人」があり、流麗な筆致で「椿説弓張月の若く美しく優婉(ゆうえん)なる白縫姫の思ひ出のために」と献辞がしたためられている。三島が安部公房や福田恆存らと互いに贈り合った署名入りの献呈本や、旅先で編集者や知人に送った絵はがきなどからは、興味深い人間関係が浮かび上がってくる。

 「書物愛」には三島が生涯に…

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