トランプ米政権が発動を「予告」しているメキシコとカナダへの高関税が、2月1日に迫る。対米輸出が全体の8割を占めるメキシコにとって、関税引き上げは死活問題だ。自動車や精密機器、コーヒーなど輸出品目は幅広いが、米国の食卓を支えている一つがアボカドだ。「アボカドの街」を訪ねた。
- 迫り来る「トランプ関税」第2幕 米国の農村が憂える「二重の危機」
1万平方メートル超の土地に無数に並ぶ、高さ5~10メートルほどの木々。つぼみのような薄い芽が出たり濃い緑色の球体が実ったり、大小様々なアボカドが育っている。熟れて落下したアボカドを拾って食べると、口の中に甘みが広がった。
「標高が高く湿度がほぼないこの場所は、アボカド栽培に最適だ。作っても作っても、米国が買ってくれるんだ」
中部ミチョアカン州タンシタロ。農家のフアン・ビベロスさん(46)はそう言って笑った。
2月の「スーパーボウル」、消費量跳ね上がるが……
メキシコは世界最大のアボカド生産国だが、ここはその中でも有数の「アボカドの街」だ。人口約3万5千人の半数以上がアボカド産業に携わり、市内の至る所にアボカドのモニュメントやポスターなどがある。アボカドはタンシタロの「象徴」になっている。
ビベロスさんは年に40~70トンを出荷し、ほとんどが米国に向かう。売り上げは100万ペソ(約750万円)。だが3分の1が土地の維持費や肥料代で消えるため、生活は楽ではない。
トランプ氏の予告通り関税が…