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高校入試に臨む受験生たち

 「またマイナスだ……」。神奈川県相模原市の女性(41)は家計簿を見てつぶやいた。

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 子どもの教育費は、中2の長男の塾代4万円に加え、小5の長女と小3の次男のスポーツクラブ代など月に計7万円近い。

 さらに、食費や自宅のローン、制服代や子どもの靴の買い替えなどこまごまとした出費もある。

 一方、収入は、教員の夫の手取りが月約30万円。ボーナスや自分のパートの10万円も合わせて、やりくりする。「貯金はできない」という。

 長男は高校受験を控え、新年度には塾代が1万円以上高くなる。志望校は決めていないが、私立の学費は払えそうにないという。昨年の夏、学校見学で東京都内のある私立校を見た長男は、設備や環境の良さにひかれているようだった。

 神奈川県は多子世帯向けに高校授業料の補助があるが、夫婦の収入の合計額は所得制限をわずかに超える可能性があるという。制度の対象となる高校も県内に限られ、長男が見学した高校には補助がない。

 女性は「東京との『格差』を強く感じる」とこぼす。自宅は都県境まで100メートルほどだ。「都内に引っ越した人もいると聞く。ローンを組んで家を買っちゃったから、諦めるしかないですけど、もしできるんだったら、引っ越したいぐらい」

 「現状では不公平感がある。教育費が高すぎて、共働きでも追いつかない。全国一律で無償にしてほしい」と話す。

高校授業料の無償化が国会で議論されています。自治体の支援から漏れる家庭では進路の選択肢が限られる実態がありますが、全国一律の補助には課題があります。

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