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記者会見に臨む岩屋毅外相=2025年2月4日午後、外務省、里見稔撮影

 石破茂首相が意欲を示したパレスチナ自治区ガザ地区の住民の日本への受け入れについて、岩屋毅外相は4日の記者会見で「日本に定住させることを目的とするものではない」と述べ、少数の傷病者の治療が目的だと説明した。具体的な人数や時期は調整中という。

  • ガザ地区で病気やけがした住民 首相、日本への受け入れ「鋭意努力」

 石破首相が3日の衆院予算委員会で「病気、けがをした方々を日本に受け入れられないか、いま、鋭意努力をしている」と語り、受け入れに前向きな姿勢を示した。

 岩屋氏は会見で「ガザの傷病者への医療支援について、関係国との間で調整を進めている」「現地での治療が困難だというごく少数の患者の方を日本で治療する可能性について政府内で検討している」と説明。「治療後は現地に戻っていただくのが大前提」と語った。

 石破首相の3日の答弁を受けて、「日本に移民が流れ込む」「強制移住に加担したとみられないか」といった懸念がネットなどで上がっていた。

 政府としては移民としての受け入れではなく、治療のための滞在とする方向で慎重に制度設計を進める構えだ。受け入れ先の調整を担う厚生労働省の幹部は「まだ調整の入り口」と話す。規模や対象者の状況に応じて検討を進めるという。

 ガザでは停戦発効後の今月1日、傷病者の一部を対象にエジプトとの境界にあるラファ検問所が開放されたが、住民が域外に出るのは極めて困難な状況が続いている。世界保健機関(WHO)は推定1万2千~1万4千人が治療でガザから出る必要があるとしている。

 パレスチナ自治区ガザは、2023年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃より前から、周囲を壁やフェンスで封鎖されて「天井のない監獄」と呼ばれてきた。イスラエルが人の出入りや物の搬入を検問所で厳しく管理してきた経緯がある。

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