トランプ米大統領は4日、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談した。トランプ氏は共同記者会見で、パレスチナ自治区ガザの全住民をガザ以外に移住させ、戦後のガザは米国が統治し再建を担う考えを示した。当事者不在のまま、一方的な復興案を打ち出した。
- ガザ停戦合意、第2段階に向け協議本格化 米イスラエル首脳は会談へ
トランプ氏が2期目の就任後、外国首脳をホワイトハウスに招いて会談するのは初めて。同氏は、ガザ住民の移住先について「多数の場所でも、一つの大きな場所でもよい」と語り、必要な資金は「近隣の裕福な国々が提供できる」と述べた。
ガザへの米国の関与については、がれきの撤去や不発弾の処理のほか、「開発を進め、多数の雇用を創出する。中東全体が誇りに思うものになるだろう」とし、米国によるガザの「長期的な所有権」にも言及し、地域に安定をもたらせると主張した。ネタニヤフ氏は「注目に値する。歴史を変えうるものだ」とおおむね歓迎する姿勢を示した。
パレスチナ国家の樹立を前提とした「2国家解決」を放棄するのかという問いには、トランプ氏は「1国家でも2国家でもなく、人々に生きる機会を与えたいだけだ」などと答え、言葉を濁した。こうした案については「中東の複数の指導者と話したが、彼らはこの案を気に入っていた」と主張した。
トランプ氏の発言を受けて、サウジアラビア外務省は声明で「パレスチナ国家樹立に関するサウジアラビア王国の立場は揺るぎない確固たるものだ」とした。ロイター通信によると、パレスチナ人の域外移住案は拒絶し、パレスチナ国家樹立なくしてサウジとイスラエルの関係正常化はありえないとも主張しているという。
会談に先立ち、トランプ氏は国連人権理事会から脱退し、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出金の停止を続けるなど、国連機関との関係を見直す大統領令に署名した。イランに「最大限の圧力」をかける1期目の強硬な対イラン政策の復活も打ち出した。イランの核開発を阻止する考えを改めて示し、仮にトランプ政権幹部への暗殺計画をイラン側が実行すれば「イランは消滅する」と警告した。
UNRWAはガザで食料や医療の提供を含めた人道援助を担ってきた。トランプ氏は1期目にも拠出金を停止し、バイデン前政権が再開させたが、ガザを拠点とするイスラム組織ハマスのイスラエル奇襲攻撃にUNRWA職員が関与していた疑惑を受け、再び停止したままになっていた。人権理事会も1期目に「反イスラエルへの偏向」を理由に脱退し、前政権下で復帰していた。