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高額療養費の負担額引き上げを再考するよう求める水戸部ゆうこさん(右)ら=2025年2月6日午後2時20分、東京都千代田区、吉備彩日撮影
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 「高額療養費制度」の自己負担の限度額を引き上げる見直しをめぐり、全国保険医団体連合会(保団連)などは6日、がん患者を対象に実施したアンケートの結果を発表した。回答者の半数が、引き上げられれば治療の中断を検討すると回答。子育てと治療を両立する患者への影響が大きいとして、政府に引き上げの中止を求めた。

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 高額療養費制度は、大きな手術などで医療費の支払いが膨らんだ際、患者負担に月ごとの限度を設ける仕組み。政府は昨年末、2025年夏から27年夏にかけて限度額を3段階で引き上げる改定案を取りまとめたが、高額な薬剤を使った治療を長く続けるがん患者らからは、生活への影響が大きいとして、反発の声が上がっていた。

 保団連は今年1月30日以降、子育て中のがん患者が交流する一般社団法人「キャンサーペアレンツ」を通じて患者にアンケートを送付。2月5日までに284件の回答があった。限度額引き上げの治療への影響を複数回答で尋ねると、46%が「治療の中断」を検討すると答えた。また、61%が「治療の回数を減らす」ことを考えるとした。

 生活への影響を複数回答で問うと、「食費などの生活費を削る」が82%、「貯金を切り崩す」が78%だった。同じく育児への影響については、「レジャーを減らす」が79%、「塾や習い事を減らす」が63%。「(子どもの)進路の変更」が49%だった。

 患者有志としてアンケートに携わった水戸部ゆうこさん(50)は6日の会見で、「子育てと闘病の両立は、したくてするわけではない。高額療養費制度は、なんとか日々頑張っている人を救うためのものであってほしい」と話し、政府に対して「引き上げを再考してほしい」と要望した。

 こうした声に対し、政府は現行案を修正する方向だ。長期間の治療が必要な人の負担増を緩和することを想定している。

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