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白銀中学校の吹奏楽部員でクラリネット五重奏を演奏する、(左から)久慈琉那さん、橋本夢彩さん、松川彩羽さん、中村かなさん、足沢依莉さん=2025年2月4日、青森県八戸市、渡部耕平撮影
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 怖い曲でも、優しい音色を響かせる。そんな魅力を持っているのが、青森県八戸市の白銀中学校吹奏楽部のクラリネット五重奏だ。息がぴったり合った演奏で、1月の県アンサンブルコンテストで県代表に選ばれた。8日に開かれる東北アンサンブルコンテストに向けて、演奏に磨きをかけている。

 披露する曲は「黎影(れいえい)」。タイトルには「暗く、青黒い影」という意味が込められている。演奏は忍び寄る影のように静かに始まり、やがていくつもの渦を巻き、恐怖に泣き叫ぶように終わる。

 低音を担当するバスクラリネットの松川彩羽(いろは)さん(1年)は「光がなくなった、暗い世界のような雰囲気」を思い描きながら演奏している。

 おどろおどろしい曲調だが、白銀中の演奏は、どこかぬくもりを感じさせる。顧問の佐藤紀子先生は「みんな、ほんわりとした性格だからでしょうか。2年生1人と1年生4人。気の合うメンバーで仲良くまとまっています」と目を細める。

 仲間について、橋本夢彩(ゆあ)さん(1年)は「明るい性格、面白い人、まじめなタイプと、いろいろな個性があるのがいいところ」。中村かなさん(1年)は「みんなの心をまぜて、一つの音楽にしています」と笑顔で語る。

 課題は音楽に鋭さをつけること。連続する音の一つ一つを明確に区切って吹けるように、5人は舌を速く動かすタンギングの練習に励んでいる。

 「空いている時間も『ティッ、ティッ、ティッ、ティッ』と、舌を動かすように心がけています」と話すのは、足沢依莉(たりさわより)さん(1年)。「演奏中はみんなでアイコンタクトもとりながら、リズムを合わせています」

 リーダーの久慈琉那(るな)さん(2年)は「みんなの心を合わせて、楽しく、悔いの残らない演奏ができればうれしいです」とステージを待ち望んでいる。

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 第52回東北アンサンブルコンテスト(東北吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)は8日に仙台市で開幕する。8日は中学生の部、9日は小学生、大学、職場・一般、高校の各部が演奏する。

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