日本の「伝統的酒造り」が昨年12月、ユネスコの無形文化遺産に登録された。近年、全国の酒蔵から様々な個性のものが生み出され、アップデートを続ける日本酒。居酒屋で選ぶのにも迷ってしまう。日本酒の鑑定官をしていた北本勝ひこ東京大学名誉教授に、登録の意義と日本酒の現在地について聞いた。
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日本の「伝統的酒造り」が無形文化遺産に登録されたのは、こうじ菌を使う日本独特の技術が評価されたからです。米、こうじ、水を原料とする「清酒」のうち、国産米のみを使い国内で造られたものを「日本酒」と呼びます。
醸造酒には日本酒のほかにビールやワインなどがありますが、その中で発酵過程がシンプルなのはワインで、原料のブドウが持つ糖を酵母が食べて、アルコールにします。日本酒の場合、米のでんぷんを糖に変え、同時にアルコール発酵をする並行複発酵という技術で造ります。この糖化をするのがこうじ菌で、酒の味や香りにも影響を与えます。
文献でこうじに関わる酒造り…