Smiley face
写真・図版
朝日歌壇選者の(左から)永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さん、高野公彦さん=東京都中央区、小林一茂撮影

 2月9日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は佐佐木幸綱さん、高野公彦さん、永田和宏さん、馬場あき子さんです。☆は共選作です。

  • 【投稿はこちら】朝日歌壇・俳壇への投稿、ネットからも

佐佐木幸綱選

 出番なき物差し取り出し測りたり年の始めの大雪の嵩(郡山市)遠藤 雍子

 雀鳴き烏鳴きまた雀鳴き病棟の灯りが点くのを待ちをり(東京都)寺山つむぎ

 コンビニの閉店したる四つ辻はもとより暗き夜道となりぬ(狭山市)奥薗 道昭

 レンタルの介護ベッドは早々と引き取られゆき床の広さよ(東京都)鈴木ひろみ

☆寒風に身を晒(さら)しつつ寄付募る「国境なき医師団」の若き人達(水戸市)檜山佳与子

☆この町にこども食堂開店す小学校は閉校なのに(常陸太田市)八幡  康

 ITの企業が目立つビル群を流れ穏やか渋谷川澄む(白井市)本山 正明

 暖海の魚も北の食卓に今日クロアナゴから揚げが美味(盛岡市)渡辺  恭

 「上出来だ、食べてみてよ」と言う父よホットケーキは誰でも焼ける(東京都)藤森 彩希

 アイドルが五十を過ぎて問題を起こす日本のテレビ業界(船橋市)佐々木美彌子

 【評】第一首、昔はよく使った「物差し」。最近は見なくなった。第二首、入院していて、まだ暗いうちに起きてしまった早朝をうたう。第三首、「もとより」は以前よりの意味。第十首、中居正広引退にかかわる作が何首かあった。

高野公彦選

 吾が糧(かて)を宅配せる人…

共有