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特定生殖補助医療に関する法案

 自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党の4会派が共同で、「特定生殖補助医療法案」を提出しました。精子や卵子の提供についてのルールを定める法案です。生まれた子どもの「出自を知る権利」について、国内で初めて一部認める内容となっています。法案について解説します。

 Q 特定生殖補助医療とは?

 A 法律婚や事実婚の夫婦が第三者のドナー(提供者)から精子や卵子を提供してもらって実施する不妊治療。提供精子を女性の子宮内に注入する人工授精(AID)は、長く国内で実施されてきた。他にも、提供された精子や卵子で体外受精する方法があり、第三者の女性による代理出産も含まれる。

 Q これまでどのようなルールで実施してきた?

 A 長年、日本には特定生殖補助医療のあり方に関する法律はなかった。そのため日本産科婦人科学会(日産婦)が、会員への独自のルールとして、法律婚の夫婦に対するAIDのみ実施を認めていた。国内で最初のAIDは1948年に慶応大病院で実施され、これまで1万人以上の子どもが生まれているとされる。大学病院では主に医学生がドナーとなっていた。

 Q 何が課題だった。

 A 生殖補助医療の技術は年々進歩し、着実に広まっていた。ただ、日産婦のルールは法的な罰則は伴わない。少数だが、第三者の女性に産んでもらう代理出産や、提供された精子・卵子による体外受精などを実施して、学会のルールに違反する医療機関も存在した。

 国によるルールづくりを求める動きは20年以上前からあり、2003年には厚生労働省の専門家部会が「生殖補助医療の適切な実施のために法整備が必要」という報告書をまとめた。だが、国会での議論は深まらなかった。

 Q 法律ができると、どう変わる?

 A ドナーから精子や卵子を…

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