第2次世界大戦後に「反ナチス」を国是とし、欧州で右翼政党の伸長を最も警戒してきた欧州連合(EU)の盟主ドイツで、排外的な主張を掲げる右翼「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進した。衝撃は欧州全体に広がる。
- 右翼が躍進のドイツ総選挙、欧州への影響は? 識者が見通す「混沌」
CDUのメルツ党首は1月、移民規制の厳格化を求める決議案をAfDの協力を得る形で可決させた。総選挙後、AfDは連立政権に加わらない公算だが、主流派の各政党が移民規制などでAfDの主張にすり寄れば、ドイツの右傾化は進み、その影響はEU各国にも及ぶ。
EU加盟の27カ国のうち、右翼勢力が閣外協力や連立などで政権に参加している国はイタリアやハンガリーなど9カ国に上り、反移民やEUに懐疑的な立場で共通している。ロシアのプーチン大統領と関係が近く、ウクライナ支援に反対するハンガリーのオルバン首相は、欧州の右翼勢力の結集を訴えている。
AfDのワイデル共同党首は選挙直前の今月12日、ブダペストでオルバン氏に面会した際、「どんな犠牲を払ってもオルバン氏と協力してEUを改革するべきだ。EUの権限を縮小し、官僚主義的で腐敗した構造全体を解体する」と語り、左右の中道勢力が進めてきた欧州統合の流れを否定した。
決定的となった米政権とEU主流派の溝
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