現場へ! 豚の「福祉」に向き合う(1)
阿蘇山のふもとに位置する熊本空港のほど近く、東海大学阿蘇くまもと臨空キャンパス(熊本県益城町)には、最先端の実習農場が広がる。その一角にある豚舎で、同大大学院博士後期課程の徳永有輝(ゆうき)さん(25)は豚の行動・管理に関わる研究を重ねていた。
学部在籍中に豚に興味を持ったという。「豚は社会性が高く、群れであろうとするが、闘争もする。もっと知りたくて、この道に進みました」。いまは分娩(ぶんべん)・授乳期における飼育管理のあり方について、研究に取り組んでいる。
一般的な養豚場ではその20日余りの期間、「分娩ストール」と呼ばれる飼育施設に母豚を入れる。子豚が踏みつぶされるのを防ぐためだ。
子豚用のスペースがあるから施設全体としては、約114日の妊娠期間中に利用する「妊娠ストール」より広い。でも子豚用スペースは母豚が入り込まないよう柵で仕切られていて、母豚に与えられる空間はどちらも一緒。つまり振り向くことができないほど狭く、ほとんど身動きできない。そこで徳永さんは「よりアニマルウェルフェア(動物福祉)に対応した飼育管理のあり方を模索できれば」と考える。
母豚に4畳分のスペース
防護服を着込み、長靴に履き…