人手不足を軽減する自動運転や、省エネなどの気候変動対策。こうした多様な社会課題の解決につながる技術として、独自の機能をもつ「塗料」が注目されている。
白熱電球に照らされた二つの工場の模型。一方の屋根にはふつうの白い塗料が、もう一方には特殊な断熱塗料が塗られている。屋根裏の温度計を見ると、それぞれ65.9度と47.0度。20度近い差があった。
この塗料はSG化学(東京都)が2019年から販売する「ダンネスト」。主に工場の屋根に使われている。埼玉県にある工場で塗布の前後を比べたところ、屋根裏の温度は68度から36度に、夏場(6~9月)の平均室温は32度から26度に下がった。
塗料の最大の特徴は、空気の層だ。塗料に含まれる微小なアクリルの粒「中空ビーズ」が塗膜に空気の層を作り、熱を伝えにくくする。この構造が外からの熱を遮断するだけでなく、冬場は室温を逃がさないダウンジャケットのような役割を果たす。
赤外線を反射しやすいよう白色酸化チタンを配合し、日射反射率92.7%と遮熱性も高い。遮熱や断熱の機能をもつ塗料は他にもあるが、両方を備えることで冬場の省エネにもつながった。
これらの性能が大手損害保険…