【連載】「インソウル」の呪縛 超一極集中の韓国 第4回
【連載】「インソウル」の呪縛 超一極集中の韓国
韓国では、人口(約5170万人)の半分が首都圏に暮らしています。多くの若者がめざすソウルの大学を指す「インソウル(In Seoul)」という言葉が象徴するように、ソウルにいてこそ成功への道も開けるという「呪縛」が社会を覆っています。「超一極集中」の韓国のリアルを追いました。
世界的にも異例のペースで進む「超少子化」。ソウル首都圏への「超一極集中」の加速。そして若い世代を覆う「インソウル(In Seoul)」志向のプレッシャー。二重三重の逆風に直面する韓国の地方大学は、「冬の時代」にどう立ち向かおうとしているのか。模索の現場を訪ねた。
ソウルから釜山行きの高速鉄道に乗り、1時間ほど。列車は大田駅のホームに滑り込んだ。大田市は人口が140万人を超える。統計庁などの政府機関や韓国鉄道公社の本社などがある、韓国中部の拠点都市だ。
大田駅からほど近い場所にキャンパスを構える私立の又松(ウソン)大は、90近い国・地域から留学生を受け入れるなどの国際化や、産業界のニーズを踏まえた実践的な人材育成を追求している。「外食調理」などの特色ある専攻は、大田周辺に限らず学生を集めている。留学生を含めれば、学生数は1万3千人ほどの中規模大学だ。
呉徳成(オドクソン)総長がインタビューに応じた。同じ大田にある国立忠南大の総長を経て、2021年から又松大の総長を務めている。
韓国の経済団体の傘下にある研究所の報告書は、2040年には大学の半数以上が学生を集められず、閉校の危機に陥るとの見通しを示しました。記事後半では、生き残りに向けて知恵を絞る地方大学の取り組みを紹介します。
どう特色と個性を明確にして…