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 地元在住の議員がゼロになる瀬戸際に立った山あいの地域がある。そんな状況を目の当たりにし、市議選に挑戦したのは、「地縁も血縁もない」元銀行員の男性だった。

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野田宗作さん。移住当初、七山の方言はほとんど聞き取れないこともあったという=2025年1月31日午後5時23分、佐賀県唐津市七山藤川、岡田将平撮影

 「40代でも若手って言われるんです」。1月下旬、山に囲まれる佐賀県唐津市七山地区(旧七山村)の中心部で、野田宗作さん(42)は言った。会社員なら中堅の年代だが、地区は高齢化率47.5%(2月1日時点)ほどに上るためだ。

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七山地区は佐賀市や福岡県糸島市と接する佐賀県唐津市東部の地域で、人口は1706人(2月1日現在)。2006年に唐津市に編入した。24年に全国公開された映画「傲慢(ごうまん)と善良」のロケ地にもなった。

移住の理由は「自然」、定住を決めたのは……

 野田さんは広島県福山市出身で、福山誠之館高校ではラグビーで全国大会に出場した。大学卒業後、山口県内の銀行に就職し、数年おきに転勤の生活が続いた。

 30代で3人の子が生まれ、自然豊かな環境で暮らしたいと思うように。休みの日は観光と移住先候補探しを兼ね、妻・早百理(さゆり)さん(42)の実家がある九州を中心にドライブに繰り出した。

 移住には仕事が必要。調べると、自治体が地域活性化のために委嘱する「地域おこし協力隊」を知った。七山では2人募集しており、夫婦で一緒に仕事ができる。「ゼロから新しいことをするのもあり」と決意した。

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唐津市中心部方面から七山地区に向かうと「ようこそ ななやまへ」の看板が出迎える=2025年2月6日午後0時15分、佐賀県唐津市、岡田将平撮影

 2021年春、家族5人の七山での生活が始まった。野田夫妻に任されたのは、地域新聞づくり。妻がライター、野田さんが撮影を担い、学校や地域の行事を取材した。農家へのインタビュー企画や「七山弁講座」のコーナーも設けた。

 外から来た自分たちにも優しくしてくれる人が多いと感じた。人の結びつきが強く、取材先も地元の人のつながりで増えていった。地域を盛り上げようと奮闘する同年代にも出会った。居心地が良く、3年の任期を終えても暮らし続けたいと思った。自然が魅力で移住したが、「定住を決めたのは人」と振り返る。

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 任期最終年の23年7月10…

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