「三大生命鎖」と呼ばれるゲノムなどの情報を一括して研究し、病気の予防・治療法を開発しようと、名古屋大などがつくる二つの研究機構が28日、包括的な連携の覚書を結んだ。これまで解明が進んでいなかった「糖鎖」と呼ばれる体内の鎖について、最先端の成果につなげたい考えだ。
ヒトを含む生物は、遺伝情報を保持する鎖状の「ゲノム」や、この遺伝情報をもとにアミノ酸を鎖状につなげてつくる「たんぱく質」でつくられている。これらは生物学や医学の主要な研究対象として解明が進んできた。
近年は「第3の生命鎖」として糖鎖が注目を集める。細胞のエネルギーとなるグルコースなどの糖が、鎖状につながってできる。
インフルエンザのウイルスが感染する際に細胞の糖鎖を狙うことに着目し、治療薬オセルタミビル(商品名タミフル)が開発されるなど病気や治療に関わる。一方、糖鎖の構造は複雑で変化も激しいことから、研究が十分に進んでいなかった。
そこで名古屋大と岐阜大でつくる「糖鎖生命コア研究所」と、東北大の「東北メディカル・メガバンク機構」は、それぞれが持つ糖鎖、ゲノム、たんぱく質の3種類のデータを、一緒に研究する体制をつくった。
メガバンク機構は、宮城・岩…