延焼が続く岩手県大船渡市の山林火災で、避難所に支援物資として運ばれた段ボールベッドがほとんど活用されていない現状が明らかになった。床と距離をつくることで冷え防止になり、エコノミークラス症候群や感染症のリスクも下げるとされるが、なぜ宝の持ち腐れになっているのか。
「どこか痛いところありませんか。ベッドを運びましょうか」。
4日、日本赤十字社岩手県支部のスタッフやボランティアが、高齢者や体が不自由な避難者を回った。
避難者の多くは、配布されたキャンプ用マットや自宅から運び込んだマットを床に敷いて寝ている。
段ボールベッドを置けば、日中は腰掛けることもできる。日赤のメンバーが段ボールベッドを紹介すると依頼する人もいたが、「腰は痛いけど狭くなるからいい」「出入りするのに不便になる」などの理由で断る人が相次いだ。
3日に市内であった医療や福祉の関係者が集まる会議でも、避難所の課題としてあげられた多くが活用されていない段ボールベッドについてだった。高齢者が希望したが、家族が難色を示したケースもあったという。
問題は、縦194センチ、横90センチ、高さ35センチの大きさだ。シングルベッドサイズで家庭で使う分には通常だが、避難所では勝手が異なる。各家庭に配られたテントに段ボールベッドを設置すると、約半分のスペースを埋めてしまうのがネックとなっている。
2月末から80代の夫と避難…