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ロンドンで2025年3月2日、英国や欧州諸国などとの首脳級会合に臨むフランスのマクロン大統領=ロイター

 フランスのマクロン大統領が自国の核抑止力の対象を欧州全体に広げるための協議を始めると表明した背景には、ロシア寄りの姿勢を鮮明にするトランプ米政権への懸念がある。これまで北大西洋条約機構(NATO)を通じて欧州各国に「核の傘」を提供してきた米国の態度の変化が、核抑止や核軍縮をめぐる議論に影響を及ぼしている。

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 「米国が我々の側にとどまると信じたいが、そうでない場合に備えておく必要がある」。マクロン氏は国民に向けた5日のテレビ演説で、フランスの核抑止力の対象を欧州に広げるための協議開始を表明する前段としてこう述べ、欧州独自の防衛を強化して対米依存を減らす必要性を訴えた。

 欧州では、北大西洋条約第5条で定められている「集団防衛」に基づいて、米国が核戦力と通常戦力による「拡大抑止」を提供してきた。米国の核兵器配備を共同で運用する「核共有」の仕組みとして、戦術核爆弾をドイツなど5カ国に配備しているとされる。

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北大西洋条約機構(NATO)加盟国と米国の核共有

 マクロン氏はかねて欧州の「…

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