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福岡県立修猷館高校で入学試験を受ける生徒ら=2025年3月5日、福岡市早良区西新6丁目
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 自民党、公明党、日本維新の会が、高校授業料無償化の所得制限をなくし、2026年度からは私立高向けの支援金を増やすことで合意した。伝統や進学実績などから、九州・山口では公立高を選択する受験生が多かった。だが、無償化の議論を機に、受験生や保護者の意識には変化の兆しが見える。

 無償化が先行する東京や大阪では私立高に人気が集まるが、九州や山口では大学進学実績などから、公立高を選ぶ家庭はそれほど減らないとみられている。

 そもそも、私立高の数が多くない。文部科学省の学校基本調査(24年度)によると、九州各県の私立高の割合は、福岡以外は3割未満。私立高への入学者数の割合も、福岡と熊本以外は全国平均(34.5%)を下回る。

 長崎市に住む医療職の40代女性の長男は、来年に受験を控える中学2年。小学生のころから公立難関高を第一志望と決めている。全日制の私立高は市内には11校あるが、うち4校は女子校だ。「勉強で大学進学をめざすなら、進学実績を踏まえれば、公立高が合っていると思う」。有力な私立高がある近隣自治体への電車通学は「交通費を考えると、現実的ではない」という。

 一方で、無償化の拡大により私立高に向ける保護者らの視線は変わりつつある。

「私立高の専願入試の受験者は増えるかもしれないが、東京や大阪とは異なり、伝統的に公立志向が強い」。記事の後半では、修猷館高(福岡)や熊本高、鶴丸高(鹿児島)といった公立トップ高の倍率がどうなるか、進学塾の担当者が予測しています。

 中学2年の長女がいる40代…

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