記者コラム 「多事奏論」 編集委員・中川透
お金の皮をかぶったおまけか、おまけの皮をかぶったお金か。私たちが買い物でためるポイントは、そんなどっちつかずの存在で、独特の発展をとげてきた。
野村総合研究所の推計によると、発行額は2018年度の1兆円分から22年度に2兆円分を突破。22日には「Tポイント」と一体化した新たな「Vポイント」が生まれ、顧客を囲い込む競争が広がる。
利用者がお金を入れるスイカやイコカなどの電子マネーと違い、発行の元手は企業が負担している。いわば顧客へのプレゼント。金融面の法規制(資金決済法)の対象外で、制度を運営するうえで企業の使い勝手がよい。
一方で、消費者は買い物でお金代わりに使え、経済的な価値への期待が高い。おまけとして付与の条件をいきなり変える企業と認識の差があり、ときに「制度の改悪だ」と反発の声があがる。企業と消費者をつなぐはずのポイントの溝、もう少し埋めることはできないだろうか。
人気のNISA(ニーサ)(少額投資非課税制度)に関するサービスでも最近、「改悪」が話題になった。三井住友カードの年会費の高いカードを使ってSBI証券でつみたて投資すると、投資額の5%分がつく。毎月5万円だと5年で15万ポイントとの説明図も掲げ、高還元をうたった。
しかし、今秋から1~3%へ…