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マニラ首都圏で2025年3月12日、「超法規的殺人」の犠牲者の写真を掲げる遺族=AP
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 フィリピンのドゥテルテ前大統領が国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状に基づき、11日夜、ICC本部のあるオランダ・ハーグに向けて移送された。今後、殺人の疑いで裁判に向けた手続きが始まる。ICCはこれまでロシアのプーチン大統領らに逮捕状を出しているが、大統領経験者の引き渡しはほとんど例がない。

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 ドゥテルテ氏は11日、フィリピンの首都マニラで、「人道に対する罪(殺人)」の疑いで逮捕された。ICCの逮捕状によると、大統領やダバオ市長を務めていた2011~19年、私設の自警団「ダバオ・デス・スクワッド(死の部隊)」や警察組織を率い、麻薬撲滅政策の名の下に組織的で広範な殺害を主導したとされる。

 「無力化」という言葉を使用し、裁判を経ない「超法規的殺人」を事実上容認。実行者に報酬を与えるなどし、数千人が死亡したとしている。

 ICCは戦争犯罪など、国際社会の価値を揺るがすような重大な罪を犯した個人を裁く国際機関で、125の国・地域が加盟する。

 容疑者を拘束した後、まず公判前の審理が行われ、検察官や弁護人の立ち会いのもと、罪状の内容や、十分な証拠があるかを確認する。その後、公判が開かれる。最長30年の拘禁刑、特別な理由がある場合は終身刑を科すことができる。死刑はない。

過去には無罪になった例も

 フィリピンは19年にICC…

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