「雑魚寝」や簡素な食事など、被災者が過酷な生活を強いられる日本の避難所の運営を改革しようと、専門家と民間企業が動き出した。長野県で避難所開設の実証実験をするほか、ベンチャー企業は新たなビジネスを構想している。
避難生活の中で命を落とす災害関連死を防ぐためにも、避難所の環境改善の必要性が長く指摘されてきた。だが、昨年1月の能登半島地震でも、避難所で「雑魚寝」が発生し、トイレに汚物があふれ、食事が不足するといった問題が起きた。
医療や福祉の専門家らでつくる「避難所・避難生活学会」は2月22~23日、大阪市で避難所運営の改善策を討議した。
常任理事の水谷嘉浩さん(54)が掲げたのが「SUM方式」だ。食事を提供するキッチンカー、トイレカー、災害用ベッドという避難所生活で重要な「トイレ・キッチン・ベッド(TKB)」の品質を統一(standard)し、一つのユニット(unit)にして、持ち運び可能(mobility)にする。
約40キロ離れた「基地」から運び込む実験も
構想では、被災者250人…