大阪・関西万博の開幕が3カ月後に迫る1月中旬、首相官邸。自身の脇を固める政府高官を前に、石破茂首相は懸念を漏らした。「関西万博は本当に大丈夫なのか?」
- 【そもそも解説】大阪・関西万博、何が見られる? 開催のねらいは?
万博の前売り券の売れ行きは想定を下回り、関係者間で先行きを危ぶむ声が強まっていた。首相は「招請国の責任が伴う」と危機感を高め、関与をさらに強める意向を固めていた。
昨年10月に発足した石破政権。複数の官邸幹部は、万博について「発足当初から強い関心があったとは言えない」と口をそろえる。理由の一つに、首相の政治的な立ち位置を挙げる見方がある。
大阪・関西万博が4月13日に開幕します。政府や大阪府市は「未来社会の実験場」と位置づけています。万博をなぜいま開くのか。課題解決の場になるのか。レガシーを残せるのか。開幕まで1カ月、課題を整理する連載です。
大阪を地盤とする日本維新の会に呼応し、万博誘致を果たしたのは第2次安倍政権下の2018年。憲法改正実現のため、維新の取り込みを図る思惑があったとされる。だが、安倍晋三氏と距離を置いてきた首相からすれば、積極的に肩入れする理由は見いだせなかった。
事情を一変させたのは、少数…