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事務所が昨秋の衆院選で初当選した自民党議員に対し、商品券を渡していたことについて発言する石破茂首相=2025年3月14日午前7時29分、首相官邸、岩下毅撮影

 石破茂首相の事務所が昨秋の衆院選で初当選した自民議員15人に10万円相当の商品券を渡していた問題で、自民党の地方議員らの間には危機感が広がっている。「政治とカネ」の問題がかねて影を落とすなか、選挙を前に逆風が強まりかねないためだ。

 「あまり感心したことではないですね」。問題発覚から一夜明けた14日、石破首相が会長を務める自民党鳥取県連の斉木正一幹事長は報道陣の取材に、苦笑交じりで答えた。

 石破首相本人や事務所から連絡はなく、報道で問題を知った。今夏の参院選に向け鳥取、島根両県連は2月、鳥取・島根選挙区の現職を比例代表特定枠に回し、同区に新顔を擁立する方針を決めたばかり。7月の参院選への影響について、斉木幹事長は「(石破首相は鳥取県連の)会長だから、影響がないということはない。心配だ。国会でしっかりと説明し、有権者の納得を得てほしい」と求めた。

 別の鳥取県連関係者は、「『政治とカネ』問題が決着したとは言えないなかでこういう話が出ると、プラスになることは何もない」と話した。

 6月には東京都議選も予定されている。自民都議の一人は「『政治とカネ』問題に関わった議員らを厳しく扱ってきた首相自身が、自分のことは『問題ない』と開き直るのは筋が通らない」と憤る。

 派閥の裏金問題による逆風が続き、自民党は昨年行われた都内の選挙でも苦戦を強いられ続けてきた。さらに昨年末には、都議会自民党の政治資金パーティーでも一部の都議が販売ノルマを超えたパーティー券収入を政治資金収支報告書に記載していないことが発覚。今回の商品券配布問題も、都議選への影響は避けられないとの見方が広がっている。

 この都議は「もし都議選で首相が遊説にくると言っても、自分は断る。印象はマイナスしかない」と話す。「私たちが収支報告書を訂正しても、世論は許さなかった。今回もそれと同じことではないのか。潔く自らけじめをつけてほしい。そうすればまた、雰囲気も変わる」

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