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春闘での賃上げ率の推移

 今年の春闘について労働組合の中央組織・連合は14日、正社員の賃上げ率が平均5.46%だったとする初回集計を発表した。初回集計では2年連続の5%超えで、昨年同期を0.18ポイント上回った。中小労組の賃上げ率も、最終集計との比較で、1992年以来33年ぶりに5%を超えた。

 初回集計は、14日午前10時までに回答のあった傘下の760組合分をまとめた。賃上げ率は、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給などを含む。物価高への対応として重要なベアは、明確にわかる649組合の平均で3.84%となり、昨年同期から0.14ポイント伸びた。ベアと定昇をあわせた1人当たりの賃上げ額は、昨年同期比1359円増の月1万7828円だった。

 伸びが顕著だったのは組合員300人未満の中小労組(351組合)だ。賃上げ率は平均5.09%で、昨年同期の4.42%から急伸。ただ、300人以上の大手(409組合)の5.47%は下回った。連合は今春闘で、大手と中小の格差是正を図るため、中小の賃上げ要求の目標を、全体に1%上乗せした「6%以上」としていた。

 芳野友子会長はこの日の会見で、「昨年と比べれば(大手と中小の)格差は縮小しているが、まだ(十分には)縮まっていない。中小は4、5月まで交渉が続くので最後までサポートしたい」と話した。

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春闘の初回集計について会見する連合の芳野友子会長=2025年3月14日、東京都千代田区、宮川純一撮影

 パートや契約社員といった非正規労働者の賃上げ率は、深刻な人手不足を背景に、時給ベースで6.50%(75.39円)上がり、昨年同期を0.03ポイント上回った。

 実際に受け取った名目賃金から物価上昇分を差し引いた実質賃金は、2024年平均で前年比0.3%減り、3年連続のマイナスに落ち込んでいる。昨年の春闘も連合の最終集計で5.10%の高水準の賃上げ率だったが、物価高騰を受けた実質賃金のマイナス基調は続いており、今春闘の結果で上向くかは不透明だ。

購買力あらわす実質賃金 専門家の見方は

 労働組合の中央組織・連合が…

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