Smiley face
写真・図版
外務省=東京・霞が関

 外務省は14日、途上国援助(ODA)の実績や課題をまとめた開発協力白書(2024年版)を公表した。存在感を増すグローバルサウス(新興・途上国)への関与の重要性を強調し、ODAを「重要な外交ツール」と位置づけている。

 白書はロシアのウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化に触れ、「世界を分断・対立ではなく協調に導く必要がある」と指摘。日本が「その役割を担うべきだ」と強調した。

  • 米の対外援助見直し 全事業の83%を廃止 国務長官がXで表明

 白書によると、2023年の日本のODAの実績は、約196億ドル(2兆7500億円程度)で、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)メンバーでは米国、ドイツに次ぐ第3位だった。

 各国では、対外援助の取り組みが危機的な状況にある。トランプ米大統領の再選で、米国際開発局(USAID)の対外援助が見直され、全事業の83%にあたる5200件のプログラムが廃止される方向だ。米国の支援は近年、新型コロナ対策やウクライナ支援で急増したが、今後は確実に減少するとの見方が強い。英国も国防費の増額に伴い対外援助予算を削る方針で、フランスやドイツなどの予算も削減傾向にある。

 外務省の担当者は「国際情勢の大きな変化により、グローバルサウスが最も影響を受けている。課題解決だけでなく、日本経済のためにもウィンウィンの関係を構築しなければいけない」と話す。

共有