連載「HANABI」第8部 未来へ紡いでいく(完)
「一発の重みを知った」。秋田県大仙市の「北日本花火興業」5代目の今野貴文(33)は修業時代をそう振り返る。
大学を卒業した2012年、新潟県小千谷市片貝町に向かう。世界最大級の4尺玉をつくる「片貝煙火工業」で学んだ。
- 【連載(6)】見せ場の前に「間」をつくる 「現代の名工」を継ぐホープの演出とは
花火大会の現場に少し年上の先輩がいた。
「煙火打揚従事者」という打ち上げに携わるスタッフだった。猛暑の中でも、周りを明るくするムードメーカー。それが、打ち上げ本番になると表情が一変した。
「妹さんに花火を届けようとしているんだよ」。同僚はそう言った。
観客の思いを背負う怖さ
映画「おにいちゃんのハナビ…