教員への賃金の不払いがあったとして、奈良労働基準監督署は17日、東大寺学園(奈良市)の学校法人と理事、2人の幹部職員を労働基準法違反の疑いで書類送検し、発表した。不払いがあったのは中学、高校の部活動などに伴う時間外や休日労働分で、学園側は「事態を重く受け止めている」としている。
- 「前残業」も 看護師ら78人の残業代未払いで奈良の病院に是正勧告
奈良労基署によると、学園側は昨年10月の1カ月間、教員36人の時間外や休日労働の割増賃金の一部となる計129万9719円を支払っていなかった疑いがある。
2023年12月の調査で賃金が適正に支払われていないことを把握して是正勧告を出したが、昨年11月の調査でも同様の状況が続いていたため、書類送検したという。
東大寺学園によると、不払いがあったのは部活動や補習、保護者への対応などの労働分で、是正勧告を受けた後におよそ3年分の不払いについては支給したという。
来年度は、繁忙期に勤務時間を延ばす代わりに、休日のまとめ取りができる制度を導入して改善を図るとしている。
学園側は「教育の質を維持した上で、先生の働き方の見直しを毎年図りたい。学校に汚名を着せてしまって生徒、保護者に申し訳ない」とコメントしている。