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 有機フッ素化合物(総称PFAS(ピーファス))に対する規制は、世界中で徐々に厳しくなっている。

 PFASは水や油をはじき、熱に強いことから、1950年ごろからフライパンの表面加工や泡消火剤などをはじめ、自動車部品や半導体の製造工程まで広く使われた。自然界ではほぼ分解されず、人体に取り込まれれば長く残り、「永遠の化学物質」とも呼ばれる。

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高濃度のPFASなどが検出されている湧き水。飲まないよう警告する看板が設置されている=2021年3月、沖縄県宜野湾市、国吉美香撮影

 土壌や水中に大量に蓄積するため、汚染源は多岐にわたり、工場などに加え、泡消火剤を使っていた軍事基地も含まれるとされる。今やエベレストの雪解け水からもPFASが検出されている。

 2000年代に健康への悪影響を指摘する報告の公表や訴訟が起こるようになった後、有害物質を規制するストックホルム条約会議で代表的な物質のPFOS(ピーフォス)が09年、PFOA(ピーフォア)が19年に製造や使用が原則禁止された。

欧米で厳格化の流れ

 近年では欧米を中心に水質検査や健康調査、土壌洗浄などで、積極的な対応がみられる。飲料水の基準も、米国は24年4月、PFOSとPFOAを1リットルあたり各4ナノグラムと大幅に厳格化した。ドイツは28年からはPFOSとPFOAを含む4物質で20ナノグラムとする。

 各国で対策が進むなか、日本も20年にPFOSとPFOAの合算で1リットルあたり50ナノグラムとする暫定目標値を設定した。

 環境省は24年、全国の水道調査を実施し、20~24年度の3595事業のうち、1都2府9県の14事業で目標値を超えるPFASが検出されたことを把握。これを受け、有識者会議で今年2月、自治体などに水質検査の実施や、基準値を超えた場合の対応を義務づける方針を了承し、26年4月から始める見込みだ。

 日本でも各地で高濃度のPFASが検出され、住民に近い最前線の自治体が強い危機感を持ち、対策に率先して取り組んでいる。

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PFASの血中濃度検査のため、採血を受ける住民=2024年11月、岡山県吉備中央町

「できることがなくても」住民たちの要望

 岡山県吉備中央町は24年…

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