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全日本アンサンブルコンテストに出場する、遠軽高校吹奏楽局・金管八重奏の局員たち=2025年3月7日、北海道遠軽町、原知恵子撮影
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 吹奏楽の主要大会の一つ「全日本アンサンブルコンテスト」が20日、福井県のハーモニーホールふくいで開幕する。北海道オホーツク地域の名門・遠軽高校は5年連続の出場。「公立の星」の横顔を紹介する。

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 歓喜の叫びは響かなかった。

 昨年8月29日夜、札幌コンサートホールKitara。北海道吹奏楽コンクール高校Aの審査発表が終わった瞬間、吹奏楽局員たちは静まりかえっていた。

 「金賞」に輝いたものの、めざしていた「3年連続の全日本代表」の座には、あと一歩届かなかった。

 「演奏が終わった後、『やりきった』と思えました。だから……」

 三沢美心さん(2年)は、悔しさで涙が止まらなかった。まわりも、みんな泣いていた。

 遠軽高の吹奏楽局は道立ながら、遠方からの入学者が半数を超える。人口減少が続く地元・遠軽町(約1万8千人)が地域活性化政策として「通学・下宿助成」「新設したばかりの音楽ホール利用無料」など部活支援に力を入れているからだ。「レベルの高い環境で吹奏楽に打ち込みたい」。そんな局員が多いだけに、夢舞台をつかめなかった悔しさは言葉にできないほど大きかった。

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 それから数カ月。吹奏楽局は、顧問の高橋利明先生の発案で、大きく生まれ変わった。

 演奏レベルを高める「合奏部…

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