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スイス・ローザンヌにあるIOC本部には2代目会長で、「近代五輪の父」と言われるピエール・ド・クーベルタン氏の像が置かれている=ロイター

 国際オリンピック委員会(IOC)の会長選挙が、3月20日に行われます。1894年に設立されたIOCの歴史で、会長を務めたのは過去にわずか9人。会長とはどんな立場で、どのように選ばれるのでしょうか。

Q 選挙はどのように行われる?

A ギリシャ南部のリゾート地、コスタ・ナバリノで開催される第144回総会が今回の会長選の投開票の舞台だ。投票は約100人のIOC委員による無記名の電子投票。会長選には7人が名乗りを上げていて、誰かが投票総数の単独過半数を獲得するまで、票が一番少ない候補者を毎回1人ずつ排除しながら投票を繰り返していく。

Q どんな候補者がいる?

A 現職のトーマス・バッハ会長の「後継者」と言われているのが、競泳の元五輪金メダリストで初の女性会長をめざすカースティ・コベントリー氏(41=ジンバブエ)だ。

 ほかに、陸上の元五輪金メダリストで、世界陸連会長を務めるセバスチャン・コー氏(68=英)や、2001年まで会長を21年間務めたサマランチ氏の息子である、フアンアントニオ・サマランチ・ジュニア氏(65=スペイン)、日本人として初めて立候補した国際体操連盟会長の渡辺守成氏(66)らがいる。

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Q 投票権を持つIOC委員とは?

A IOCはスイスに拠点を置き、オリンピックを通じた世界平和実現をめざす非政府組織。その委員は「五輪貴族」と言われることもあり、約100人の4割ほどが欧州出身だ。顔ぶれは多彩で、英国のアン王女をはじめ王室・王族関係者も複数いるほか、政治家や弁護士、経営者、医師も。五輪メダリストも近年は増えていて、陸上棒高跳びのセルゲイ・ブブカ氏(ウクライナ)や、フェンシングの太田雄貴氏(日本)らもメンバーだ。原則無報酬で、定年は70歳。自分たちを「ファミリー」と呼び、仲間意識が強く、新たに委員になるには総会の承認が必要になる。

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歴代IOC会長

Q 過去にはどんな人がIOC会長を務めてきた?

A 初代は、五輪発祥の地であるギリシャ出身のデメトリウス・ビラケス氏だ。IOC創設当時は「次期開催国から会長を選ぶ」という規定があり、最初のトップに就いた。近代五輪の提唱者として知られる教育者、ピエール・ド・クーベルタン氏(仏)は2代目を務めた。

 現職のバッハ氏は9代目。5代目のアベリー・ブランデージ氏(米)以外の8人は欧州出身者が占めている。貴族出身は3人。実業家や外交官、工学博士、医師など経歴は様々で、バッハ氏は弁護士でもある。

Q 会長はどんな権限をもっている?

A 実施競技や五輪開催地の選…

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