滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール(大津市打出浜)は21日、2026年7月1日から28年2月末まで全館休館すると発表した。1998年9月に開館して以来、全館休館するのは初めて。老朽化対策などの大規模改修のためという。
びわ湖ホールは、文化発信の拠点として県が約245億円かけて琵琶湖畔につくった。大中小三つのホールがあり、大ホールは西日本で初となる4面舞台を備える。卓越した音響・照明空間で知られ、コンサート、オペラ、バレエ、演劇などを上演してきた。
今回の改修のため、県は25年度当初予算案に限度額約70億円の債務負担行為を盛り込んだ。空調機器80台や中央監視装置、エレベーター6基を更新し、つり天井は耐震性の高い現在の建築基準に合わせて改修する。車いす用の席を3ホールで計10席増やすなどバリアフリー化も進める。
声楽アンサンブルは活動拡大
休館中は、国内初の公共ホール専属声楽家集団「びわ湖ホール声楽アンサンブル」の県内外での活動を広げるほか、海外の劇場とも連携を進める。県内すべての小学生が音楽を鑑賞する「ホールの子」事業は、休館の前後の年に参加できるようにするという。
阪哲朗芸術監督は「改修終了後にびわ湖ホールに戻って来て、なめらかに活動が再開できるように取り組む。休館というマイナス要素をプラスに変えるようにしたい」と語った。県文化芸術振興課の担当者は「ほかの文化ホールと連携した活動を進め、これまで以上にファンの拡大に努める」と話す。